カテゴリ:Flying Buzz( 11 )

Flying Buzz Vol.4発行しました

今年の春からほぼ2ヶ月に1号ずつ発行しているフリーペーパー「Flying Buzz」の4号が完成しました。

カバーは絵本作家として有名なグラフィック・デザイナー、レオ・レオニがアート・ディレクションをしていた頃の『FORTUNE』誌。今も続いている世界で最も有名な経済誌ですが、レオニの手にかかるとファンタジー溢れる絵本のような装丁になります。
エッセイは9月末から10月頭にかけて10年ぶりに訪れた上海の古本市の模様と毛沢東時代のプロパガンダ・ポスターについて。
制作中のビート・ジェネレーションの書誌からは50~60年代に新たなシーンを築き上げたアンダー・グラウンドの文芸誌「リトルマガジン」について。
以上、フリーペーパーならではのマニアックな内容に仕上がってます。

Flying Books店頭のほか、恵比寿のタワーカフェ、ギャラリー/ショップのGround 2、渋谷並木橋の立ち飲みバー:キミドリ、青山ブックセンター本店で手に入ります。また近日中に渋谷のギャラリー・コンシール、ワイアードカフェ、タワーブックス、等でも配布予定です。
500部限定なのでお早めに。

f0024665_2345267.jpgFlying Buzz Vol.4

1:Flying Buzz Pick Up Selection 4 :
「FORUNE」1949.10-1956.12 by Leo Lionni

2:在上海的古書探求 ~Book hunting in Shnghai~

3:Pieces of Beat Books vol.3 :「リトルマガジン」

4:information




*創刊号で書いたように、次の第5号で一旦休刊させていただきます。休刊号は「幻のサイケデリック・ポスター」特集号。これまでより、版型も部数も拡大版になる予定です!

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by flying-books | 2006-11-23 23:50 | Flying Buzz

「SPUTNIK : whole life catalogue」野村訓市さんインタビュー(Flying Buzz vol.3より)

2000年秋、史上初の人工衛星(1957年)と同じ「SPUTNIK」と言う名の真っ黒な雑誌が出版された。
「whole life catalogue」と銘打ったこの大判のカタログ誌に集められたのは物ではなく、80の自由な生き方。ライフとは何かに焦点を当て、人口衛星的な視点で世界を見渡し、あらゆるジャンルからインディペンデントで自由な生き方をしている人が選ばれた。自分自身の生き方を求め、その経験を皆と分かち合う人のために編集されたこの雑誌の編集長であり、自身インタビュアーと世界を飛び回った野村訓市さんに話を聞いた。

----「SPUTNIK : whole life catalogue」(以下「SPUTNIK」)を作ったきっかけは?
f0024665_442711.jpg野村訓市さん(以下N):きっかけは長い旅行から帰ってきて、最初にやったことがsputnikというまぁ海の家でした。僕が26の時のことで、コンセプトはtravelling without moving =移動せずに旅をする、ということ。このときにお金を貸してくれたのがイデーの代表だった黒崎さんで、海が終わった後に「何かいけてる雑誌をつくってみないか?」といわれ、流行の先端をいくようなものは自分には作れないが、こういうものは?として提示したのが「SPUTNIK」だった。

----「SPUTNIK」は「Whole Earth Catalog」から着想を得たと聞きましたが、どんな部分にインスパイアされましたか?
N:本にまつわることに関してズブのド素人である自分が作るのだったら、どういう本を今自身が必要としているか?って考えた時に、様々な活動をする人たちがどうやってものを学び、どのようなきっかけで人生を築いたのかが知りたかった。それをどう表すか?どう分類するか?って考えたときに生きるために必要なことを動詞で分類してから提示した「Whole Earth Catalog」のフォーマットで人の人生、行き方を表せないかって考え作ったのが「SPUTNIK」。だからインスパイアというかもうメチャクチャ影響を受けている。

----「Whole Earth Catalog」との出会いは?
N:旅をしているときに(「Whole Earth Catalog」を)持っている人に聞いて。

----「Whole Earth Catalog」が目指した、本当に知りたい情報にアクセスするという試みはインターネットの世界で実現可能になりつつあると思いますが……。
N:なっては来ているんだと思う。昔は見たい情報、本を探すためには、実際に本を買って調べたり、そのような情報網を持つ人と知り合わなければ難しかったら。ただすぐに情報にアクセスできるぶん、それまでの過程とかがすっ飛ばされてるのかな?とも思う。どれが正しい情報で、欲しい情報なのか、かえって分かりにくくなったというか。

---- 「Whole Earth Catalog」が現在にもたらしたものとは?
N:Access to toolという言葉が全てを表してると思う。

---- 今後の展開は?
N:今まで通り自分の興味のあることを自分のペースでやっていきたい。もちろん本も作りたいと思っているし。今は情報があり過ぎて埋もれてしまっている素晴らしい人や作品が沢山ある。それをいかに分かり易く、人に提示していくか?それによって自分も生き易い環境になると思うし。リミットを設けることなく自然にダラダラとって感じですかね。
(メール・インタビュー 2006/7)

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SPUTNIK : whole life catalogue
野村訓市(編)ほか
2000, イデー株式会社 ¥1,500

野村訓市 
73年東京生まれ。世界各国のクリエイター86人を旅しながらインタビューをした「SPUTNIK : whole life catalogue]を発刊。その後も湘南でのsputnik運営、雑誌ブルータスやリラックス等で企画、編集、執筆を手掛ける。ブルースウェバー展のプロデュースからナイキ等のイベント、CDの監修までその活動は多岐にわたる。現tripster所属。
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by flying-books | 2006-11-20 00:56 | Flying Buzz

Whole Earth Catalogとその周辺(Flying Buzz vol.3より)

前号のFlying Buzzで取り上げた「Whole Earth Catalog」。Flying Booksでの展示も好評の内に先日終了させていただきました。「Flying Buzz vol.3」の内容を数回に分けて紹介します。

------------以下、Flying Buzz vol.3より------------

Whole Earth Catalog
f0024665_23302330.jpg60年代後半、ヒッピーをはじめとする既存の文明化社会に疑問を抱く若者達によるムーブメントは「カウンター・カルチャー(対抗文化)」と呼ばれ、アメリカの西海岸を発端に、全世界的に広がっていった。当時、そんな若者達のバイブルと呼ばれたのがWhole Earth Catalogである。
1968年にスチュワート・ブランドによって出版されたこのカタログ誌は商品を売るための一般のカタログとは違い、若者たちに新しいライフスタイルを提案するという画期的なものだった。「Access to Tools」をコンセプトにセレクトされたモノたちは、自給自足を営むヒッピーのために原始的な生活の手段を紹介したものから、パソコンの基になるコンピュータ・テクノロジーの紹介、精神世界のガイドといったものまで、まさに当時の若者たちが描いていたイメージをデザインしたものばかり。また常に最新の情報にアクセスできるということを念頭に置き、何度もアップデートを繰り返した。その精神は80年代に入ってからも「CoEvolution」「Whole Earth Review」「Whole Earth Magazine」という季刊誌にかたちを変えても継続されている。
現在では、Millennium Whole Earth Catalogを最後に更新をストップしてしまったが、当時のWhole Earth Catalogに記載されていたような希少な情報も、インターネットを通じて簡単に手に入れることが可能になった。誰もが自分の欲するモノや情報を手にすることができるようになり、Whole Earth Catalogが担っていた機能はすでに果たされているのかもしれない。しかし、インターネット上に分散した莫大な情報は何かを以て「選ばれた」わけではない。Whole Earth Catalogというフィルター、1つのメディアから発信された思想や精神にこそ大きな価値があるのではないだろうか。

f0024665_23304734.jpgスチュワート・ブランド
Whole Earth Catalog初代編集長。若かりし頃には『カッコーの巣の上で』で有名な作家のケン・キージーらとLSDをばらまきながらアメリカ中を放浪していた生粋のヒッピーである。その後、Whole Earthという壮大なプロジェクトのもとに、カタログ誌Whole Earth Catalogを出版し、一躍カウンター・カルチャーの英雄になった。早くにハイテクノロジーの可能性に注目し、Whole Software Catalog、先駆的なネットワーク・スペース「WELL」を立ち上げる。現在は、一万年の規模で時を刻む時計をつくるプロジェクトや、文明のアーカイブを構築するプロジェクトを運営。遙か未来の人類社会に向けて標を指し示すべく活動している。
(ロング・ナウ:http://www.longnow.org/  ロング・ベッツ:http://www.longbets.org/)
メディアラボ(絶版)
スチュアート・ブランド(著)室謙二(共訳)
1988、福武書店

f0024665_233158.jpgスティーブ・ジョブス
Macintosh、iPodなどで知られるApple Computer社のCEO(最高経営責任者)。70年代初め、ジョブスはWhole Earth Catalogを片手にキャンパスを徘徊し、中退後はインドへ放浪に出るなどヒッピーのような生活を送っていた。最近のスピーチでも「Stay Hungry, Stay Foo- lish.」というWhole Earth Catalogからの言葉を引用し、このカタログ誌が人生に多大な影響を与えたと語るなど、そのフリークぶりが有名だ。
スティーブ・ジョブズ 偶像復活
ジェフリー・S.ヤング(共著)井口耕二(訳)
2005、東洋経済新報社 ¥2,310

f0024665_233118100.jpgバックミンスター・フラー
スチュワート・ブランドがWhole Earth Catal ogの生みの親なら、その核となる思想の生みの親がバックミンスター・フラーと言えるだろう。発明家、思想家、建築家、数学者、工学者などの肩書きを持ち、ジオデシック・ドーム(フラードーム)、シナジー幾何学などで有名なフラーは20世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチと称されている。地球を宇宙に浮かぶ1つの宇宙船に例え、人類をはじめとするその乗組員が生存可能な環境を持続していかなくてはならないという「宇宙船地球号」の考え方を唱えた。世の中に対してエコロジーや持続可能な社会を考える大きなヒントを与え、Whole Earth Catalogの体系にもその思想が色濃く反映されている。
宇宙船地球号操縦マニュアル
バックミンスター・フラー(著)芹沢高志(訳)
2000、筑摩書房 ¥945
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by flying-books | 2006-11-02 23:36 | Flying Buzz

志人(降神/Temple ATS)インタヴュー完全版(後編)(Flying Buzz vol.2より)

後編です。

-街を見る「視点」~高田馬場駅前「路上」を経て-
f0024665_252292.jpgそこから見える「視点」というのがあって、今まで気が付かなかった街の景色が見えてくるです。
街のちょっとした落書きなど、以前は目に止まらなかった、止まっても気が付かなかったものが、目にバシバシ止まるようになってきて、これは街の見方が変わってきたぞっという感覚が確かにありました。
寺山の映画「書を捨てよ、町に出よう」に詩を街に書いていくシーンがあって、自分としてはなんでグラフィティでなくて詩や日本語を書かないんだろうってすごく思い、日本語を地元の壁に書いていたことがあった。ああいう本当に煽りかけるような映画が今はなぜ作られないのかが疑問です。当時は街自体が大舞台になっていて、道行く人ですら出演者で、収録現場でさえ煽りかけるものがあったと思います。僕らは常に、言葉や、街の死角、ちょっとした小道、「なんだここ」と思う場所を探している、そんな「視点」を持って生きている人間だと思う。そしてまだその「視点」に気付いていない人がそれに気付くことがあってもおもしろいと思い、路上で表現したいと思うようになったんです。実際に街頭劇をやった後は、人が集まって来て、何人かは一緒にやりたいと言ってくれて、それがうれしかった。街だけでなく、人を見るる視点も変わってくるのかな。当時も実験を繰り返していた寺山修司ら表現者たちの下には彼らを慕って若者が集まってきた。彼らには何もしてなかった若者に、何かができることを気付かせるパワーがあった。一人ずつでもいいから、「何かやってみよう」という気持ちにさせられることができたらいいなと思います。

-同世代のラッパー、DJ、トラックメーカー、画家らで構成するアーティスト集団「Temple ATS Records」-
今までサークル等の集団の中でやっていたことを、今度は自分自身でやったみたいと考えるようになり、当時の仲間と1stアルバム「夢みる機械」を作りました。その頃、まわりにも苦戦している同年代がいっぱいいて、考えていることのベクトルはバラバラで、一匹オオカミが多かった。その中で共感を持てたのがなのるなもないやtempleATSの仲間たちです。
表現したいんだって気持ちを強く抱え持った仲間たちと出会って、それができる場所を作りたいと思うようになったんです。
この仲間がいなかったら生きてないかもしない、ソウル・メイトと言える仲間たちに囲まれていて、彼ら自身も自分を表現することへのエネルギーに満ち溢れている。
家に貼ってあったネイティブ・インディアン教えの詩に「仲間の愛に囲まれた子供は、世界の愛を見つけることができる」というのがありました。
今の自分は、仲間の愛に囲まれて世界の愛を見つけ出そうとしている、この詩のような人間なのかも知れない。
政治・経済とは別に、芸術を独立させるにはどんなことが出来るのか。自分や周りの人間が、お金のことなどを心配せずに、本当にいいものを作り出せて、一人一人が苦悩を乗り越えてアーティストとして独立していく為には、どういうことができるのかと今考えています。
(2006年4月10日新宿「らんぶる」にて)
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志人のその他インタビューはTemple ATSオフィシャルページ
「フランス暴動 移民法とラップ・フランセ」陣野俊史(河出書房新社2006年2月刊¥1,260)でもご覧いただけます。今回、これらインタビュー掲載の内容は敢えて外しました。併せてご参照下さい。
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by flying-books | 2006-09-19 23:36 | Flying Buzz

志人(降神/Temple ATS)インタヴュー完全版(前編)(Flying Buzz vol.2より)

Upが遅くなりましたが、前号のFlying Buzzより降神の志人君のインタビュー完全版を、長いので2回に分けてお送りします。

------------以下、Flying Buzz vol.2より------------
f0024665_1540353.jpgジャパニーズ・アンダーグラウンド・ヒップホップシーンで独特のヴァイヴを放つ「降神(おりがみ)」の「志人(しびっと)」。昨年末リリースした「アヤワスカEP」「Heaven’s恋文(れんぶん)」ではリリック中に60s’からの影響が散見され、地元高田馬場駅前で路上パフォーマンスを敢行した。弱冠24歳、生まれる以前のカルチャーを取り込み、新しい解釈を持って再生させる稀有なアーティストにインタビューを試みた。(右画像は「Heaven’s 恋文」TATS-005 ¥2,415 *ジャケットのアートワークはTemple ATSの画家・戸田真樹)

-60s’カルチャーとの出会い-
中学時代にホームステイをしたオーストラリアのホスト・ファミリーがヒッピーだったんです。昼間は消防士のお父さんが、家に帰るとギターを持って音楽を聞かせてくれるような家でした。その後大学に入り、生き方自体がカウンター・カルチャーと言えるような先輩たちと出会いました。興味を抱くようになったのは、それに興味を抱いている人間とその周りにあるものが最初の衝撃として大きかったからなのかもしれません。大学時代に「日本でも海外のような感覚になれないだろうか」というのがあって、無理だと判っていることでもがんばってやってみようかと思うようになりました。それにはもっと勉強が必要だと思ってアメリカ、アジア等を回ってあらゆることにチャレンジもしました。当時のかっこうは見せられないくらいヒッピーだったかもしれません。(笑)

-0を1にする力-
60年代の作品を見ると、それが何もないところから生み出されている。「0を1にする力」とでも言うような。自分を切り刻むように実験して間違ってもいい、不正解の中に正解を見出していけばいいんだと。狂気を逸脱して逆に正気なんじゃないかと思える作品を見て、無意味に意味を与えている部分にすごく共感しました。当時は偏見もあったろうし、悩むこともあったと思う。ただその悩んでいる姿を見せてしまっていることがすごい。ありのままで、汚いくらい、かっこつけていない。自分も気取らずに全部をさらけ出すようなことを出来るような人間でいたいと思いました。
 ただ時代性の違いもあって、今それをマネしても通じない部分があると思います。当時の作品はなんでそこまでというくらいユーモアが滲み出ていて、エロスという表現だけでも多種多様ありました。現代は色々なものを見過ぎて逆に想像力が乏しくなり、不感症になっているような部分もあると思います。
都会ではみんなベクトルがばらばらでそれぞれのペースで走っている。そんな都会の人間の足を止め、耳を傾けてもらう方法はとは何か、どういうような表現をしていったらいいのかと考え、現段階では、人間が人間らしく間違っていく姿と、その間違いを正していく姿の両方を出していけたらいいのではないかと考えてます。

-ウッドストック-
当時はどうなっていたのだろうと60年代の時代背景を探るようになり、そんな中、映画「ウッドストック」を観てすごく衝撃を受けました。表現の主体がI(私)ではなくがWE(私たち)であったように、1969年は人々が掲げているベクトルにまとまりがあった。当時掲げてられていたモノや歌われていたモノは本当にすばらしく、それを今この時代に聞きたい、そのエネルギーが流れていてくれないかなと思って、最近(94、99年)のウッドストックの映像を見たんだけど、明らかに時代性の変化が出ている。
今度は汚い言葉や人を傷つけるようなことによって盛り上がる時代が来ていて、この変化はいったいどうなってしまったんだろうかと考えました。当時自分が生まれていないこともあり、いくら考えてもわからない部分もあって、ノースカリフォルニアのアルケータというコミュニティにも実際に足を運びました。

~後編につづく~
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by flying-books | 2006-09-18 00:44 | Flying Buzz

All Earth Catalog? (Flying Buzz vol.3)

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予定より約一ヶ月遅れてしまいましたが、Flying Buzzの第3号が出来上がりました。
今回は1960年代末にアメリカで発行され、若者たちのバイブルとして、ヒッピーたちを中心に一世を風靡した「Whole Earth Catalog」の特集です。

Flying Buzz Vol.3 -Whole Earth Catalog ISSUE-
1:Flying Buzz Pick Up Selection 3 :Whole Earth Catalogs
2:Whole Earth Catalogを取り巻く人物
  スチュワート・ブランド(初代編集長)
  スティーブ・ジョブス(Apple Computer CEO)
  バックミンスター・フラー(思想家、建築家、数学者)
3:Interview~野村訓市さん(『SPUTNIK:Whole Life Catalogue』編集長)

編集後記より
「紙は粗悪、ページ数・サイズも膨大で重量のある雑誌。インターネットで簡単に情報が手に入る時代にもかかわらず、なぜこの雑誌に惹き付けられ、探し求めてしまうのか?そんな『Whole Earth Catalog』の魅力を感じてほしいと思い今号で取り上げました。Flying Books店頭にて暫くの間、展示販売をしますので是非実物を見ていただければと思います。」
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と、言うことで、Flying Booksの廊下のウィンドウはしばらく「Whole Earth Catalog」特集です。これまで発行されてきた「Whole Earth Catalog」の大半を揃えました。中には数年前のバックミンスター・フラー展(ワタリウ美術館)で展示されていたものと同じ号もあります。売り切れ次第、展示も終了なので、お好きな方、気になる方はお早めにご覧になって下さい。

Flying Buzz Vol.3はFlying Books店頭他、渋谷Tower Books、代官山Ground 2、等で手に入ります。
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by flying-books | 2006-09-03 23:45 | Flying Buzz

「HOWL」- 半世紀過ぎても衰えぬ反骨精神(Flying Buzz vol.2より)

そして来週末にはFlying Buzzの第3 号を製作中です。
次号は「ホール・アース・カタログ」特集、発行は7月中旬を予定してます。

2号に掲載した、アメリカの詩人、アレン・ギンズバーグの今年出版50周年を迎えた代表作「HOWL」についての記事を掲載します。

------------以下、Flying Buzz vol.2より------------

「HOWL」- 半世紀過ぎても衰えぬ反骨精神    text by Tsukagoshi

アレン・ギンズバーグは、ケルアック、バロウズらと並び、1950年代にアメリカで起こった文学運動ビート・ジェネレーションを代表する詩人。既存の文化や価値観を根底から覆した象徴的存在である。ギンズバーグはサンフランシスコにあったシックス・ギャラリーで行われた朗読会に、約150人の前で「HOWL」を初めて披露した。今まで誰も体験し得なかった、偽りのないありのままの自分をさらけ出した詩に皆感嘆し、詩人達は誰もがこの一夜を「まるで世界が変わった」と回顧する程の出来事だった。1955年10月6日、ビート詩人アレン・ギンズバーグが産声を上げた記念すべき日である。

f0024665_1754223.jpg1956年秋、ローレンス・ファーリンゲティ(シティライツ書店店主)は「HOWL」をシティライツ書店の「ポケット・ポエッツ・シリーズ 」(ポケットサイズの低価格詩集)第4作目として出版した。(初版1000部はイギリスで印刷され、定価75セントだった。)
しかし、翌年春、税関でわいせつ文書として押収、警察によってシティライツ店頭の「HOWL」も押収され、ファーリンゲティとマネージャーのシゲヨシ・ムラオ(シアトル生まれの日系二世)が逮捕されることになる。しかし裁判で、アメリカ自由人権協会や仲間のサポートの元、「わいせつとの判断は不当」とする判決を勝ち取る事が出来、これをきっかけに、「HOWL」とギンズバーグの名は一気にアメリカ全土へ知れ渡った。(裁判後は1万部の増版)

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日本では1961年(昭和36年)に「HOWL」が古沢安二郎訳により那須書房から500部限定で「咆哮」という題で出版された。ギンズバーグは60年代から度々日本を訪れており、特に日本のビート詩人であるナナオ・サカキらとは共に世界各地の朗読会へ赴くほど、長い交友関係が続いた。現在日本語で入手可能なものとして「ギンズバーグ詩集(諏訪優訳:思潮社)」、「特集アレン・ギンズバーグ:現代詩手帖特集版(富山英俊訳:思潮社)」等があり、こちらは「吠える」として収録されている。他にも「ビート詩集(片桐ユズル訳:国文社・1962年)」があり、それぞれ訳者によって微妙なニュアンスや表現が違うので読み比べてみると面白い。
現在ポケット・ポエッツ・シリーズの「HOWL」は、これまで93万5千部発行され、6ドル95セントでデザインは当時と変わらぬままだ。また海外ではリーディングを収めたCDも発売されており、観衆の大喝采に包まれるライブ盤は、その絶大な人気が伺えるので是非聞いてみてほしい。

f0024665_17551998.jpg生前ギンズバーグは、60年代以降に反戦運動の扇動的存在としてFBIにマークされた事がある。しかし音楽界のボブ・ディランやパティ・スミス、故ジョー・ストラマー(ザ・クラッシュ)との交流、往年の作品が評価されての全米図書賞の受賞や大学教授として教鞭を執るなど71歳の生涯を終えるまで活動は多岐に渡った。ギンズバーグに人々が共鳴した詩の中には、価値観や流行に流されず、批判や反応を恐れない反骨精神にある。かつてのシックス・ギャラリーのように観衆の度肝を抜く詩人が再び現れ、若者が奮い立つ瞬間に出逢える事を願っている。これからも、「HOWL」はずっと人々の心に刻まれていくだろう。
最後に古沢安二郎訳による「咆哮」の文頭を紹介したい。
<咆哮>
「私はおなじ世代の最良の人たちが狂気に身を亡ぼされ、狂気に飢えて裸にされているのを見た、
からだを引きづりながら夜明けの黒人街を腹立たしい一本のヘロインを探し求めるため歩き回るのを、
夜の機構を動かす星のダイナモの中に溶けこんで行く昔ながらの天のかけ橋をせめて薬に求めようとして
もがいている天使のようなヒップスターたち、・・・・」
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by flying-books | 2006-06-28 23:37 | Flying Buzz

只今、’60sイベント真っ最中

すみません。しばらく更新が滞ってしまいました。

f0024665_21271752.jpg現在、渋谷の東急百貨店本店で「'60s東京グラフィティ」のイベント真っ最中です。
Flying Booksはもちろん古本での出店で、今回初めてお目見えするフランスのアヴァンギャルド雑誌「PLEXUS」や60年代のイタリア建築雑誌「domus」などもありますのでご興味のある方は是非。5月9日(火)まで11時~19時です。(最終日のみ17時まで)


そしてフリーペーパー「Flying Buzz vo.2」を発行しました。東急でのイベントに併せて今回は60s issueです。
f0024665_21292783.jpg内容は
1:寺山修司・唐十郎を中心としたカタログ
2:志人(降神/temple ATS)インタビュー
 独自の世界観を持ったリリックとフロウがアンダーグラウンドシーンで人気を呼んで いるヒップホップユニット「降神」。昨年末リリースの初ソロで60年代カルチャーか らの影響が散見されたMCの志人への(音楽についてまったく質問しなかった)インタ ビュー。
3:ビート書誌よりアレン・ギンズバーグ「HOWL」刊行50周年
 今年、出版されてから半世紀を迎えたカウンター・カルチャーのバイブル的詩集 
 「HOWL(邦題:吠える)」について

現在、Flying Books店頭、渋谷Tower Books(タワーレコード7F)、名古屋ブックカフェCESTA、他で入手できます。
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by flying-books | 2006-05-03 23:28 | Flying Buzz

スケーターの聖地巡礼と奇跡の一冊(Flying Buzz vol.1より)

最近はGWでの東急百貨店本店でのイベント準備や、カルチャースクールの講座用のテキストを作りをしてます。一方仕入も好調で、海外雑誌のバックナンバーや写真集など続々入荷中です。
そして来週末にはFlying Buzzの第二号も発行予定です。
今日は一号からもう一つのエッセイを掲載します。

------------以下、Flying Buzz vol.1より------------

 2月に訪れた一年半ぶりのロサンゼルス。この街ではずせないのが、ベニス・ビーチにあるギャラリー併設ブックショップ「Equator Books」とスケート&サーフボードの殿堂「Board Gallery」だ。この界隈は現代のエクストリーム・スポーツの基礎を作ったとも言える伝説のスケートボード・チーム「Z-BOYS」の本拠地、かつて「DOGTOWN」と言われた場所でもある。
f0024665_1524160.jpg 70年代半ば、ストリートから生みだされた「Z-BOYS」の独創的かつ攻撃的な滑りは、それまでのスケートボーディングの概念を一気に塗り替え、トニー・アルヴァやステイシー・ペラルタなど、後に映画界等でも引っ張りだことなるスターを生み出した。各種大会を総なめにし、爆発的なスケートボード・ブームを引き起こしただけではなく、干ばつを機に空っぽのプールで始めた彼らの新しい滑りは、現在のハーフパイプ競技の基ともなった。それまでボードで空中を滑ることなど誰にも考えつかなかったことで、現在のスノーボード競技も彼らの想像力に満ちた遊び心なしでは実在し得なかったことになる。
 この「board gallery」はZ-BOYSと同じ頃から活躍し、大会チャンピオンにもなったレジェンド・スケーター、レイ・フローレスが経営する店で、店内の壁は70年代当時のヴィンテージから、最新のデザインものまでびっしりとスケートボードで埋め尽くされ、まさにギャラリーの様相だ。この壁を拝むだけでも足を運ぶ価値はある。
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 そして今回のロス滞在の目的であるブック・フェアで出会った奇跡の一冊がこれ。「Z-BOYS」オリジナル・メンバーの12人全員のサインに加え、チームの本拠だったボードショップ「ZEPHYR」の共同オーナーであり、チームの仕掛け人だったジェフ・ホー、スキップ・イングラム、クレッグ・ステシック、カメラマンのフリードマン全員のサインが入った写真集「Dogtown: The Legend of the Z-Boys」。限定80部で、シリアルナンバーと刻印、メンバーの一人、ネイサン・プラットによる鑑定書が付いている。メンバーたちは今だスケーターやサーファーの者もいるが、実業家や、環境活動家になっていたり、刑務所に居る者もいて、全員のサインが揃うことはもはや現実的に不可能。まさに奇跡の本だ。
 「Z-BOYS」に関して知りたい人は、2002年に中心メンバーであるペラルタによって撮られたドキュメンタリー「Dogtown&Z-Boys」のDVDや、昨年末から今年1月にかけて劇場公開された「ロード・オブ・ドッグタウン」がおすすめ。特に後者は、70年代半ば、華やかなイメージの強いロサンゼルスの暗部で花開いたユース・カルチャーを描いた青春映画として、スケートボードに興味がなくても十分楽しめる作品だ。
 最近のロスのスケーター・シーンを牽引しているのは一昨年、フェアファックス・アヴェニューにオープンした「Supreme」。日本でも人気のスケートボードブランド/セレクトショップ。ここはなんと店内にプールを模した木造のスケートランプがあり、店員はもちろん、幅広い年齢層のスケーターたちが轟音を轟かせ腕に磨きをかけている。店員に断れば見学もさせてもらえるようなので、間近でアクロバティックな妙技に見入るのもいいだろう。
 残念ながら2月から営業時間を変更した「Equator Books」には今回は行けずじまい。ちょうどスペースもいっぱいになったので、こちらに関してはまたそのうちに。

Board Gallery:1639 Abbot Kinney Blvd Venice, CA 90291
Tel: 310-450-4114 http://www.theboardgallery.com
Supreme Store:439 N. Fairfax Ave., Los Angeles; Tel:323-655-6205.
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by flying-books | 2006-04-14 23:55 | Flying Buzz

Japanese Beatnik: The Tribe (Flying Buzz vol.1より)

先日紹介した長沢哲夫さんらが60年代に行っていた活動「部族」についての記事を転載します。

------------以下、Flying Buzz vol.1より------------

 1950年代にアメリカで起った文学を中心としたビート・ジェネレーション。現在に至るまで文学のみならず、音楽や映画まで幅広く影響を与えたカウンター・カルチャー(体制への対抗文化)のムーブメントです。Flying Booksはフリーペーパー「impact」のメンバーと2年ほど前から、日米のビート・ジェネレーションのビブリオグラフィ(書誌:本のデータ集)の作成を手がけてます。ここでは毎回そのビブリオグラフィからトピックをセレクトし紹介していきます。第一回はFlying Books兄弟分のインディーズ出版「SPLASH WORDS」からこの春に3冊目の詩集を出版予定のナーガこと、長沢哲夫さんらが60年代後半に始めた日本のビート・ムーブメントとも言える「部族」について!


 会社を辞めた99年の暮、街で偶然見かけたフライヤーを頼りに足を運んだのが当時77歳の詩人ななおさかきと山尾三省さんのポエトリー・リーディング。自分の信念にしたがって道を歩んできた二人の力強さに満ち溢れた言葉に一気に引きこまれた。その翌秋、ビート・ジェネレーションの作家たちに多大な影響を与え、環境保護活動等によりピューリッツァー賞を受賞した詩人ゲーリー・スナイダーの来日を機に、かつてゲーリーが日本で過ごした時の仲間たちが一堂に会すポエトリー・リーディングが催され、そのお手伝いをしたことから、ななおさかき、山尾三省、長沢哲夫(ナーガ)、内田ボブら、「部族」のメンバーとの交流が始まった。
f0024665_0235914.jpg 「部族」の活動を簡単に紹介すると、60年代後半、当時の文化の中心だった新宿の喫茶店や中央線沿線でミニコミ誌などの活動を通じて出会い、「部族」を結成。長野県・八ヶ岳、東京・国分寺、鹿児島トカラ列島・諏訪瀬島の3箇所を中心に、既成の価値観に縛られないコミューン(共同体)活動を実践した。67年末に声明文とも言える「部族宣言」を掲載した『部族新聞』を創刊、翌68年に第二号を発行した。(コストを下げるために少ない色数で、いかに華やかな誌面を作るか工夫されたサイケデリック新聞は、中心メンバーだったPONこと山田塊也のアートワークが冴え、印刷デザインとしても注目に値する傑作となった。原案ともなったアメリカの「サンフランスシコ・オラクル」等は現在高額のプレミアがついている。)
その後、独身者が中心に集まったコミューンから家族が誕生し、家族生活と共同体活動との両立の難しさから、コミューンは解散していくこととなったが、諏訪瀬島や屋久島の白川村などは今もその流れの中にあり、旅人をオープンに迎え入れてくれる。
f0024665_0264028.jpg 彼らが何故かっこいいかと言うと、既成の価値観からドロップアウトし、自分の視点で、自分が納得できるような生活を実践しているところ。これは情報に流されがちな都会では本当に難しいことだ。時として、都会で生まれ育った者には、豊かな自然の中で生まれ、都会の生活を知らない人のエコロジー発言に説得力を見出すのが難しいこともある。しかし、東京の中心で生まれたにもかかわらず、30年以上漁師と詩作を両立している諏訪瀬島のナーガさんや、2001年夏に亡くなられるまで、屋久島で百姓・詩人として情報発信をしてきた山尾三省さんの言葉には力強いリアリティが感じられるのだ。
 この春、めでたく10周年を迎えるナーガさんと内田ボブさんの恒例のツアーに合せ、SPLASH WORDSから新作「きらびやかな死」と、すでに品切れとなってしまった「つまづく地球」に英訳詩を付した第二版を同時に刊行することとなった。ひとりでも多くの人にナーガさんの言葉を届けるきっかけになれればと思う。

f0024665_0233598.jpg 最後に『部族新聞』一号より部族宣言の冒頭を紹介したい。「ぼくらは宣言しよう。この国家社会という殻の内にぼくらは、いまひとつの、国家とはまったく異なった相を支えとした社会を形作りつつある、と。統治するあるいは統治される如何なる個人も機関もない、いや「統治」という言葉すら何の用もなさない社会、土から生まれ土の上に何を建てるわけでもなく、ただ土と共に在り、土に帰ってゆく社会、魂の呼吸そのものである愛と自由と知恵によるひとりひとりの結びつきが支えている社会 - ぼくらは部族社会と呼ぶ。」(1967年12月発行「部族新聞」一号より)
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by flying-books | 2006-04-08 23:58 | Flying Buzz