2006年 09月 19日 ( 1 )

志人(降神/Temple ATS)インタヴュー完全版(後編)(Flying Buzz vol.2より)

後編です。

-街を見る「視点」~高田馬場駅前「路上」を経て-
f0024665_252292.jpgそこから見える「視点」というのがあって、今まで気が付かなかった街の景色が見えてくるです。
街のちょっとした落書きなど、以前は目に止まらなかった、止まっても気が付かなかったものが、目にバシバシ止まるようになってきて、これは街の見方が変わってきたぞっという感覚が確かにありました。
寺山の映画「書を捨てよ、町に出よう」に詩を街に書いていくシーンがあって、自分としてはなんでグラフィティでなくて詩や日本語を書かないんだろうってすごく思い、日本語を地元の壁に書いていたことがあった。ああいう本当に煽りかけるような映画が今はなぜ作られないのかが疑問です。当時は街自体が大舞台になっていて、道行く人ですら出演者で、収録現場でさえ煽りかけるものがあったと思います。僕らは常に、言葉や、街の死角、ちょっとした小道、「なんだここ」と思う場所を探している、そんな「視点」を持って生きている人間だと思う。そしてまだその「視点」に気付いていない人がそれに気付くことがあってもおもしろいと思い、路上で表現したいと思うようになったんです。実際に街頭劇をやった後は、人が集まって来て、何人かは一緒にやりたいと言ってくれて、それがうれしかった。街だけでなく、人を見るる視点も変わってくるのかな。当時も実験を繰り返していた寺山修司ら表現者たちの下には彼らを慕って若者が集まってきた。彼らには何もしてなかった若者に、何かができることを気付かせるパワーがあった。一人ずつでもいいから、「何かやってみよう」という気持ちにさせられることができたらいいなと思います。

-同世代のラッパー、DJ、トラックメーカー、画家らで構成するアーティスト集団「Temple ATS Records」-
今までサークル等の集団の中でやっていたことを、今度は自分自身でやったみたいと考えるようになり、当時の仲間と1stアルバム「夢みる機械」を作りました。その頃、まわりにも苦戦している同年代がいっぱいいて、考えていることのベクトルはバラバラで、一匹オオカミが多かった。その中で共感を持てたのがなのるなもないやtempleATSの仲間たちです。
表現したいんだって気持ちを強く抱え持った仲間たちと出会って、それができる場所を作りたいと思うようになったんです。
この仲間がいなかったら生きてないかもしない、ソウル・メイトと言える仲間たちに囲まれていて、彼ら自身も自分を表現することへのエネルギーに満ち溢れている。
家に貼ってあったネイティブ・インディアン教えの詩に「仲間の愛に囲まれた子供は、世界の愛を見つけることができる」というのがありました。
今の自分は、仲間の愛に囲まれて世界の愛を見つけ出そうとしている、この詩のような人間なのかも知れない。
政治・経済とは別に、芸術を独立させるにはどんなことが出来るのか。自分や周りの人間が、お金のことなどを心配せずに、本当にいいものを作り出せて、一人一人が苦悩を乗り越えてアーティストとして独立していく為には、どういうことができるのかと今考えています。
(2006年4月10日新宿「らんぶる」にて)
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志人のその他インタビューはTemple ATSオフィシャルページ
「フランス暴動 移民法とラップ・フランセ」陣野俊史(河出書房新社2006年2月刊¥1,260)でもご覧いただけます。今回、これらインタビュー掲載の内容は敢えて外しました。併せてご参照下さい。
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by flying-books | 2006-09-19 23:36 | Flying Buzz