2000年秋、史上初の人工衛星(1957年)と同じ「SPUTNIK」と言う名の真っ黒な雑誌が出版された。
「whole life catalogue」と銘打ったこの大判のカタログ誌に集められたのは物ではなく、80の自由な生き方。ライフとは何かに焦点を当て、人口衛星的な視点で世界を見渡し、あらゆるジャンルからインディペンデントで自由な生き方をしている人が選ばれた。自分自身の生き方を求め、その経験を皆と分かち合う人のために編集されたこの雑誌の編集長であり、自身インタビュアーと世界を飛び回った野村訓市さんに話を聞いた。 ----「SPUTNIK : whole life catalogue」(以下「SPUTNIK」)を作ったきっかけは? 野村訓市さん(以下N):きっかけは長い旅行から帰ってきて、最初にやったことがsputnikというまぁ海の家でした。僕が26の時のことで、コンセプトはtravelling without moving =移動せずに旅をする、ということ。このときにお金を貸してくれたのがイデーの代表だった黒崎さんで、海が終わった後に「何かいけてる雑誌をつくってみないか?」といわれ、流行の先端をいくようなものは自分には作れないが、こういうものは?として提示したのが「SPUTNIK」だった。 ----「SPUTNIK」は「Whole Earth Catalog」から着想を得たと聞きましたが、どんな部分にインスパイアされましたか? N:本にまつわることに関してズブのド素人である自分が作るのだったら、どういう本を今自身が必要としているか?って考えた時に、様々な活動をする人たちがどうやってものを学び、どのようなきっかけで人生を築いたのかが知りたかった。それをどう表すか?どう分類するか?って考えたときに生きるために必要なことを動詞で分類してから提示した「Whole Earth Catalog」のフォーマットで人の人生、行き方を表せないかって考え作ったのが「SPUTNIK」。だからインスパイアというかもうメチャクチャ影響を受けている。 ----「Whole Earth Catalog」との出会いは? N:旅をしているときに(「Whole Earth Catalog」を)持っている人に聞いて。 ----「Whole Earth Catalog」が目指した、本当に知りたい情報にアクセスするという試みはインターネットの世界で実現可能になりつつあると思いますが……。 N:なっては来ているんだと思う。昔は見たい情報、本を探すためには、実際に本を買って調べたり、そのような情報網を持つ人と知り合わなければ難しかったら。ただすぐに情報にアクセスできるぶん、それまでの過程とかがすっ飛ばされてるのかな?とも思う。どれが正しい情報で、欲しい情報なのか、かえって分かりにくくなったというか。 ---- 「Whole Earth Catalog」が現在にもたらしたものとは? N:Access to toolという言葉が全てを表してると思う。 ---- 今後の展開は? N:今まで通り自分の興味のあることを自分のペースでやっていきたい。もちろん本も作りたいと思っているし。今は情報があり過ぎて埋もれてしまっている素晴らしい人や作品が沢山ある。それをいかに分かり易く、人に提示していくか?それによって自分も生き易い環境になると思うし。リミットを設けることなく自然にダラダラとって感じですかね。 (メール・インタビュー 2006/7) SPUTNIK : whole life catalogue 野村訓市(編)ほか 2000, イデー株式会社 ¥1,500 野村訓市 73年東京生まれ。世界各国のクリエイター86人を旅しながらインタビューをした「SPUTNIK : whole life catalogue]を発刊。その後も湘南でのsputnik運営、雑誌ブルータスやリラックス等で企画、編集、執筆を手掛ける。ブルースウェバー展のプロデュースからナイキ等のイベント、CDの監修までその活動は多岐にわたる。現tripster所属。
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| 2006-11-20 00:56
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