Upが遅くなりましたが、前号のFlying Buzzより降神の志人君のインタビュー完全版を、長いので2回に分けてお送りします。
------------以下、Flying Buzz vol.2より------------ ジャパニーズ・アンダーグラウンド・ヒップホップシーンで独特のヴァイヴを放つ「降神(おりがみ)」の「志人(しびっと)」。昨年末リリースした「アヤワスカEP」「Heaven’s恋文(れんぶん)」ではリリック中に60s’からの影響が散見され、地元高田馬場駅前で路上パフォーマンスを敢行した。弱冠24歳、生まれる以前のカルチャーを取り込み、新しい解釈を持って再生させる稀有なアーティストにインタビューを試みた。(右画像は「Heaven’s 恋文」TATS-005 ¥2,415 *ジャケットのアートワークはTemple ATSの画家・戸田真樹) -60s’カルチャーとの出会い- 中学時代にホームステイをしたオーストラリアのホスト・ファミリーがヒッピーだったんです。昼間は消防士のお父さんが、家に帰るとギターを持って音楽を聞かせてくれるような家でした。その後大学に入り、生き方自体がカウンター・カルチャーと言えるような先輩たちと出会いました。興味を抱くようになったのは、それに興味を抱いている人間とその周りにあるものが最初の衝撃として大きかったからなのかもしれません。大学時代に「日本でも海外のような感覚になれないだろうか」というのがあって、無理だと判っていることでもがんばってやってみようかと思うようになりました。それにはもっと勉強が必要だと思ってアメリカ、アジア等を回ってあらゆることにチャレンジもしました。当時のかっこうは見せられないくらいヒッピーだったかもしれません。(笑) -0を1にする力- 60年代の作品を見ると、それが何もないところから生み出されている。「0を1にする力」とでも言うような。自分を切り刻むように実験して間違ってもいい、不正解の中に正解を見出していけばいいんだと。狂気を逸脱して逆に正気なんじゃないかと思える作品を見て、無意味に意味を与えている部分にすごく共感しました。当時は偏見もあったろうし、悩むこともあったと思う。ただその悩んでいる姿を見せてしまっていることがすごい。ありのままで、汚いくらい、かっこつけていない。自分も気取らずに全部をさらけ出すようなことを出来るような人間でいたいと思いました。 ただ時代性の違いもあって、今それをマネしても通じない部分があると思います。当時の作品はなんでそこまでというくらいユーモアが滲み出ていて、エロスという表現だけでも多種多様ありました。現代は色々なものを見過ぎて逆に想像力が乏しくなり、不感症になっているような部分もあると思います。 都会ではみんなベクトルがばらばらでそれぞれのペースで走っている。そんな都会の人間の足を止め、耳を傾けてもらう方法はとは何か、どういうような表現をしていったらいいのかと考え、現段階では、人間が人間らしく間違っていく姿と、その間違いを正していく姿の両方を出していけたらいいのではないかと考えてます。 -ウッドストック- 当時はどうなっていたのだろうと60年代の時代背景を探るようになり、そんな中、映画「ウッドストック」を観てすごく衝撃を受けました。表現の主体がI(私)ではなくがWE(私たち)であったように、1969年は人々が掲げているベクトルにまとまりがあった。当時掲げてられていたモノや歌われていたモノは本当にすばらしく、それを今この時代に聞きたい、そのエネルギーが流れていてくれないかなと思って、最近(94、99年)のウッドストックの映像を見たんだけど、明らかに時代性の変化が出ている。 今度は汚い言葉や人を傷つけるようなことによって盛り上がる時代が来ていて、この変化はいったいどうなってしまったんだろうかと考えました。当時自分が生まれていないこともあり、いくら考えてもわからない部分もあって、ノースカリフォルニアのアルケータというコミュニティにも実際に足を運びました。 ~後編につづく~
by flying-books
| 2006-09-18 00:44
| Flying Buzz
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