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スケーターの聖地巡礼と奇跡の一冊(Flying Buzz vol.1より)

最近はGWでの東急百貨店本店でのイベント準備や、カルチャースクールの講座用のテキストを作りをしてます。一方仕入も好調で、海外雑誌のバックナンバーや写真集など続々入荷中です。
そして来週末にはFlying Buzzの第二号も発行予定です。
今日は一号からもう一つのエッセイを掲載します。

------------以下、Flying Buzz vol.1より------------

 2月に訪れた一年半ぶりのロサンゼルス。この街ではずせないのが、ベニス・ビーチにあるギャラリー併設ブックショップ「Equator Books」とスケート&サーフボードの殿堂「Board Gallery」だ。この界隈は現代のエクストリーム・スポーツの基礎を作ったとも言える伝説のスケートボード・チーム「Z-BOYS」の本拠地、かつて「DOGTOWN」と言われた場所でもある。
スケーターの聖地巡礼と奇跡の一冊(Flying Buzz vol.1より)_f0024665_1524160.jpg 70年代半ば、ストリートから生みだされた「Z-BOYS」の独創的かつ攻撃的な滑りは、それまでのスケートボーディングの概念を一気に塗り替え、トニー・アルヴァやステイシー・ペラルタなど、後に映画界等でも引っ張りだことなるスターを生み出した。各種大会を総なめにし、爆発的なスケートボード・ブームを引き起こしただけではなく、干ばつを機に空っぽのプールで始めた彼らの新しい滑りは、現在のハーフパイプ競技の基ともなった。それまでボードで空中を滑ることなど誰にも考えつかなかったことで、現在のスノーボード競技も彼らの想像力に満ちた遊び心なしでは実在し得なかったことになる。
 この「board gallery」はZ-BOYSと同じ頃から活躍し、大会チャンピオンにもなったレジェンド・スケーター、レイ・フローレスが経営する店で、店内の壁は70年代当時のヴィンテージから、最新のデザインものまでびっしりとスケートボードで埋め尽くされ、まさにギャラリーの様相だ。この壁を拝むだけでも足を運ぶ価値はある。
スケーターの聖地巡礼と奇跡の一冊(Flying Buzz vol.1より)_f0024665_1521317.jpg
 そして今回のロス滞在の目的であるブック・フェアで出会った奇跡の一冊がこれ。「Z-BOYS」オリジナル・メンバーの12人全員のサインに加え、チームの本拠だったボードショップ「ZEPHYR」の共同オーナーであり、チームの仕掛け人だったジェフ・ホー、スキップ・イングラム、クレッグ・ステシック、カメラマンのフリードマン全員のサインが入った写真集「Dogtown: The Legend of the Z-Boys」。限定80部で、シリアルナンバーと刻印、メンバーの一人、ネイサン・プラットによる鑑定書が付いている。メンバーたちは今だスケーターやサーファーの者もいるが、実業家や、環境活動家になっていたり、刑務所に居る者もいて、全員のサインが揃うことはもはや現実的に不可能。まさに奇跡の本だ。
 「Z-BOYS」に関して知りたい人は、2002年に中心メンバーであるペラルタによって撮られたドキュメンタリー「Dogtown&Z-Boys」のDVDや、昨年末から今年1月にかけて劇場公開された「ロード・オブ・ドッグタウン」がおすすめ。特に後者は、70年代半ば、華やかなイメージの強いロサンゼルスの暗部で花開いたユース・カルチャーを描いた青春映画として、スケートボードに興味がなくても十分楽しめる作品だ。
 最近のロスのスケーター・シーンを牽引しているのは一昨年、フェアファックス・アヴェニューにオープンした「Supreme」。日本でも人気のスケートボードブランド/セレクトショップ。ここはなんと店内にプールを模した木造のスケートランプがあり、店員はもちろん、幅広い年齢層のスケーターたちが轟音を轟かせ腕に磨きをかけている。店員に断れば見学もさせてもらえるようなので、間近でアクロバティックな妙技に見入るのもいいだろう。
 残念ながら2月から営業時間を変更した「Equator Books」には今回は行けずじまい。ちょうどスペースもいっぱいになったので、こちらに関してはまたそのうちに。

Board Gallery:1639 Abbot Kinney Blvd Venice, CA 90291
Tel: 310-450-4114 http://www.theboardgallery.com
Supreme Store:439 N. Fairfax Ave., Los Angeles; Tel:323-655-6205.
by flying-books | 2006-04-14 23:55 | Flying Buzz


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